会長挨拶 (2020年4月)
日本アフリカ学会会員の皆さまへのごあいさつ
私は、2020年3月29日に開催された新理事会において会長に選出されました。任期は2年間です。1964年に創立された本学会において、14人目の、つまり第14代会長ということになります。
今期の理事会の最初の課題は、新型コロナウイルスの感染拡大防止が要求される状況のもとで、5月23、24日に東京外国語大学で予定されている学術大会と、23日に同会場で予定されている総会を、どういうかたちで実施するかということです。すでに会員の皆さまにお知らせしたとおり、学術大会はいわばヴァーチャルなかたちで、総会はテレビ会議という形式で実施することになりました。本学会史上はじめての異常事態ですが、皆さまのご理解とご参加をお願いいたします。
今回選出された評議員と理事のリストを見たときに印象的だったのは、「世代交代」という事実でした。1957年生まれの私が最年長で、大多数の役員は40歳代から50歳代前半の研究者です。また、これはこの10年間ほどの傾向ですが、女性の多さも顕著です。選出された理事11名のうち5名、評議員31名のうち12名は女性です。これは、20年前の本学会では考えられない事態でした。こうした役員の年齢と性別の特性は、本学会の将来にとって望ましい、意味のあるものだと思います。
私は「年の功」のゆえに会長に選出されたと自己認識しています。旧世代と新世代のつなぎ役としての役割を果たし、継承すべきところは継承しつつ、本学会の発展に新たな貢献をすることができたらと考えています。
個人的な思い出になりますが、私がはじめて学会の研究大会というものに参加したのは、1979年に犬山市の京都大学霊長類研究所で開催された本学会の学術大会でした。以来、複数の学会に所属していますが、本学会は私にとってプライマリーなアイデンティフィケーションの対象であり続けています。私は、理系文系を問わず、職業的専門家か非専門家の区別も問わず、アフリカという大陸とその自然、そしてそこに暮らしてきた人びとに学問的関心を抱く者たちが集い議論し、その成果を社会に向けて発信する場としての本学会を、今まで以上に盛り立てていきたいと考えています。会員の皆さまのご協力とご参加を、心からお願いいたします。
日本アフリカ学会会長 栗本英世
(2020年4月6日、記)