関西支部:2024年度 第12回例会
「映像で見るアフリカ・アジア社会とその課題」(第2回「エチオピアの隣人と映像を通して考える未来」)
日時:2024年11月15日(金)19:00~21:00
場所:Febcafe Kyoto (京都・五条)(https://fabcafe.com/jp/kyoto/access/)
内容:
今回は、国立民族学博物館の川瀬慈氏の2作品(以下ご参照ください)を上映し、川瀬氏と、新作にも登場するアベベ・サラシラシェ氏にご登壇いただき、京都精華大学の和崎春日氏と清水貴夫氏がナビゲーターを務めます。
1.『吟遊詩人-声の饗宴-』(2022年、17分)
エチオピア連邦民主共和国の都市にみうけられる酒場“アズマリベット”。ここでは楽師アズマリが弦楽器マシンコを弾き語り、人生の無常や恋愛、社会批判等を歌にし、庶民を楽しませる。アズマリのパフォーマンスの特色は歌い手のみならず、聴き手も即興的に詩を生み出し、歌い手に投げかけていくことにある。アズマリはそれらの詩を弦楽器の旋律にのせて一字一句復唱し、聴衆に聴かせる。本作は、アジスアベバのハヤフレット地区にあるアズマリベットDuka Masinqoにおいて、長回しのシングルショットによって記録された、ゴンダール出身のアズマリ、ソロモン・アイヤノー氏と客たちの詩のやりとりである。ここで歌われた詩のテーマは、新型コロナウィルスの世界的な蔓延、ティグライ人民解放戦線(TPLF)と政府軍による戦争、過去と現在のエチオピア首相に対する批判、さらには大エチオピア・ルネサンスダム(GERD)建設をめぐるエジプトやスーダンとの外交摩擦に至るまで多岐にわたった。アズマリベットの歌は、エチオピアの社会情勢や庶民の気持ちを映し出す鏡である。東京ドキュメンタリー映画祭2022「人類学・民俗映像部門」準グランプリ。
2.『つながりを生きる東京のエチオピア移民』(2024年、48分)
日本社会には、世界のさまざまな地域や文化にルーツを持つ人々がいる。その中でもアフリカからの移民の生活や活動は広く知られていない。東京都葛飾区と墨田区には、200人近いエチオピアからの移民が住んでいる。彼ら、彼女らはエチオピア正教会の集会でつながり、同国の音楽や食事を通じて地域住民と交流を行う。本作では、エチオピアの人々が自分たちの文化を守りながら、東京に根を下ろしつつある姿をとらえる。高齢化や人口減少に伴う労働力不足を解決するために活用する「外国人材」という視点ではなく、日本社会を創造的かつ、豊かに読み替える主体としての移民に目を向け、歩み寄り、そこからこの国の未来について考えることは可能だろうか。ヘリタレス国際遺産映画祭(ポルトガル 2024)、クラトフェスト国際民族学ドキュメンタリー映画祭(北マケドニア 2024)他、入選。
申込み:https://caaccs.kyoto-seika.ac.jp/2024/11/15/talk-2/
連絡先:清水貴夫(京都精華大学) shimizujbfa [at] yahoo.co.jp ※[at]は@に変更ください。