会長挨拶 (2022年4月)
日本アフリカ学会会員の皆さまへのごあいさつ
4月2日に開催された第一回の理事会で、今期の会長に選出された松田素二です。
日本アフリカ学会は、アフリカ諸国が植民地支配から独立を勝ち取り新しいネーションビルディングの実験を始めていた1964年に創立されました。以降、当時は珍しかった学際的な地域研究学会として歩みを続けてきました。当初は、文化人類学、霊長類学中心だった会員も、人文学、社会科学、自然科学の多様なディシプリンを背景にもつメンバーに広がり、NGOの実践家も含めて幅広く多様な構成に発展してきました。今年の2月末の正会員数は830名で、5年前の796名から増加しています。近年、多くの学会で会員数が減少傾向にある中で、本学会は若い世代を中心に活力を増しているようです。
今期はこのメンバーの多様性をさらに発展させ、それによるシナジー効果から何か新しいものを創造するためのフォーラムとして学会を位置付けたいと希望しています。
そのために、これまで以上に、自然科学系のアフリカ研究者が参加し人文社会系の研究者との相互作用ができる場の工夫、若手の研究者の調査、論文執筆などの支援事業の充実、アジアのアフリカ学会との提携の深化、アフリカにかかわる様々なNPOとの交流などについて検討し、実現のために努力したいと考えています。
また、新型コロナウィルスの感染拡大によって、学術大会を始め支部の研究会もほとんどがオンライン開催になっています。対面でのふれあいや緊張感を味わえないのは残念ですが、学術大会の分科会や支部活動などは、オンラインによってより活性化しています。この事態を活用してアフリカ人の研究者や実践家との協働も活発化しアフリカ研究に大きな貢献もしているように思います。
これからもこうした制限は継続するかもしれませんが、「アフリカの現場に行けない」ことが「アフリカ地域研究の終わり」では決してありません。こうした状況の中で、地域研究の新しい方法、視角、領域を開拓することで、アフリカ研究を一層面白いものにして行くことも可能だと思います。会員の皆様と一緒にこの挑戦ができることを楽しみにしています。
日本アフリカ学会会長 松田素二
(2022年4月22日、記)